科学技術社会論

現代社会において科学的な知識やテクノロジーがもつ重要性は、誰の目にも明らかです。私たちはつねにそうしたものと関わりながら生活しており、それをうまく使いこなすことが求められています。これは災害のような問題においても当然いえることです。

科学技術社会論は、こうした科学的な知識がどのように生み出されているか、またそうした知識がいかに社会のなかに流通し、利用されているかを、社会科学的な側面から研究します。たとえば私(木村)は、地震国であるトルコにおいて、防災教育や訓練のあり方を調査し、それを人びとがどのように受容しているか、また伝統的な知識(とくに宗教的な知識や価値観)とどのように関わりあっているか、また地震学的な知識の蓄積と防災に関する社会制度がどのように関わりあっているかを研究しています。

ここからは、近年強調される「暗黙知」や「在来知」といったものが、いかに科学的な知識やその日常的な運用と不可分なものであるかが明らかになります。防災教育も、あるいは暗黙知の掘り起こしについても、そうした知識や情報が実際にはどのような文脈にあるかを理解することなしには、よりよいあり方を考えることはできません。