建物被害調査訓練の事例

 建物被害調査の研修は、おおくの場合、講演などの机上の研修が中心となります。調査の考え方や手法は難しいものではありませんが、実際には建物は複雑に入り組んでおり、おもったとおりに調査は進みません。そこで実際に建物空間の中で、あたまとからだの両方をつかい、調査の一連の流れを体験することが、調査を体得する上で必要となります。 常葉大学附属社会災害研究センターでは、さまざまな自治体と協力して、実際の建物を使用した「あたまとからだをつかった」建物被害調査研修を企画・実施しております。

実被災建物を活用した建物被害調査研修

 新潟県小千谷市には、2004年に発生した新潟県中越地震で被災し、そのままの状態で保存されている建物があります。新潟県小千谷市、中越大震災ネットワークおぢや、常葉大学附属社会災害研究センターでは、2008年よりこの建物をつかった建物被害調査の実地研修会を開催しています。

既存建物を活用した建物被害調査研修

 2013年の災害対策基本法の一部改正や、熊本地震など近年発生した災害の教訓から、さまざまな自治体では、市役所近くでより実践的な建物被害認定調査の研修を多くの職員に受けさせたい、という要望があります。 常葉大学附属社会災害研究センターでは、2012年より災害による損傷をシミュレーションした実建物を使い、建物被害調査の研修会を開催しています。

高層建物における建物被害調査訓練

 集合住宅やオフィスビルなどの中高層建物の被害調査は、複数階の損傷情報をどのように収集・処理し、建物の安全性や被災度を判断するかという点が課題となっています。 常葉大学附属社会災害研究センターでは、工学院大学と共同して、新宿の超高層ビルを事例とした建物被害調査・被災度判定方法の開発に取り組んでおります。